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債権差押範囲(差押禁止範囲)の変更申立て【前編】

弁護士コラム

 プロ野球のセ・リーグのペナントレースがとても面白い状況になっていますね。
 (交流戦でパのチームが強かった結果ではあるのですが。ちなみにカープは9勝9敗でした)
 ペナントレースの約半分が終わったのに、6月25日ゲーム終了時点で1位と6位までどのチームにも優勝する可能性があるということです。 やはり勝負事は、最後までもつれて結果が予想できない方が私は好きです。麻雀でもトップ独走状態より、オーラスでより多くの人がトップになる可能性が残ってる方が、 緊張感があり面白いですよね。

 さて、今回は債権差押範囲(差押禁止範囲)の変更を求める場合のことを取り上げます。
 前回2度に渡って、養育費の支払いに対する強制執行についてお話しましたが、強制執行には、差押えが禁止されている範囲が法律によって定められています。
 給料については、基本的にその4分の3が『差押え禁止の範囲』とされています。(注1
 ちなみに、国会議員の歳費や市議会議員の報酬、会社の取締役等の役員報酬は給与とは異なる性質があることを考慮され、いずれもその全額について差押えが認められています。
 差押えにより給料が全額差押えられてしまえば、債務者の日々の生活は成り立たなくなります。そのために法律によって差押えを禁止する範囲を定めているわけです。いくら債権回収とはいえ、それはまずいだろう、という価値判断(注2)があるわけですね。

 給料の差押えを受けた債務者の方は、差押えを受けてない給料で生活をします。しかし日々の生活に係る出費は人それぞれで、給料の4分の3では到底生活できない場合はありますし、養育費の場合であれば2分の1で生活しなければなりません。
 債権者側からすれば、例えば養育費は家族の生活に欠かせない収入であり、債務者の給与の2分の1であっても家族が生活してゆくには到底足りないという場合があります。

 その場合に検討するのが、【差押え範囲(差押え禁止範囲)】の変更申立てです。
前提のお話が長くなってしまったので、具体的な内容は次回にしたいと思います。お楽しみに!

弁護士 渡 邉 一 生


(注1)但し、給料が44万円を超える場合は、33万円を超える分を差し押さえることが可能ですし、養育費の場合であればその禁止範囲は2分の1となります。

(注2)価値判断とはいえ、憲法25条により保障された債務者の生存権を考えた、非常に重いものです。

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