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離婚に伴う養育費の問題【後編】

弁護士コラム

さて、前回の続きです。家庭裁判所の手続き(調停や審判)により取り決められた養育費が義務者より支払われない場合、家庭裁判所へ履行勧告(りこうかんこく)の申し出をするという方法があります。 この申し出をすると、家庭裁判所は養育費の支払い状況を調査し、支払い義務者に養育費を支払うよう勧告します。この申し出には費用がかかりません。
 家庭裁判所からの履行勧告によっても義務者が養育費を支払わない場合や、公正証書により取り決められた養育費を支払わない場合は、債務名義(注1)を用いて、義務者の財産に対して差し押え(強制執行といいます)をすることになります。
 養育費に基づく強制執行の場合、特例により他の一般債権(注2)と異なる取扱がなされます。
そのうち重要なものとして①期限到来前の定期金債権による差押えの特例と、②差押え範囲の特例があります。
誤解を恐れず平たく説明しますと、例えば強制執行で義務者の給与から未払いの養育費を回収しようとした場合、
①「強制執行により差し押さえをすることができる給与の範囲が広く」、②「将来分(支払期限が来ていない)の養育費のためにも義務者の給与の差し押さえをすることができる」のです。

養育費でない一般の債権の強制執行において給与の差押えをする場合、給与の4分の3については差し押さえをすることができません。 ですが、養育費に基づく強制執行においては、2分の1を差し押さえることが可能とされています。
また、一般債権に基づく強制執行で、確定期限(注3)付きである場合は、確定期限の到来を強制執行の要件としています。養育費に基づく強制執行の場合は、支払いが一部未払いとなった場合 まだ支払い期限が来ていない養育費についても義務者の給与を差し押さえることができる、とされています。

要するに養育費の支払いが一部未払いになり、強制執行が行われた場合、原則的には養育費の支払い期間が終了するまで給与の差し押さえが続くこととなります。

 このように養育費は、他の一般債権とは異なる特別な取り扱いがなされています。(養育費については、金額の面等もっと改善されるべきという議論もあり、今後の課題です)
養育費は、とても長い期間に渡り生活の基礎となり非常に重要なものです。他方で、支払うべき者(義務者)にとっても、生活に大きな影響を及ぼすものです。
離婚を考えた際、どうしても目の前の離婚を早く成立させたいあまり、養育費について深く考えないで決めてしまっている場合もありますが、 養育費はお互いにとってとても重要な物ですので、納得できる形で決めるべきです。

弁護士 渡 邉 一 生


(注1)この場合の債務名義とは、養育費についての定めのある調停調書、判決正本、公正証書等のことです

(注2)債権とは、ある者(債権者)が他の者(債務者)に対して有する権利、例えば、金銭を貸した者(債権者)が、借りた者(債務者)に対して貸金の返還請求できる権利のことです。

(注3)確定期限というのは例えば、債務名義に「2015年6月末日までに支払う」と定めてある等のことです。この場合には、2015年6月末日が到来してないと強制執行をすることができません。  

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