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債権差押範囲(差押禁止範囲)の変更申立て【後編】

弁護士コラム

 梅雨が明け、本格的な夏に突入ですね。尾道では、7月25日に夏の風物詩『尾道住吉花火祭り』がありました。 私は贅沢にも打上台の近くから花火を観ることができ、とても綺麗で感動しました。壮大な花火を観ていると、悩みを抱えていても前向きになれますね。

 さて、今回は差押禁止債権の範囲変更申立てについて、裁判官がどのように判断するのかについて書きたいと思います。
以前、コラムで触れたように、給与の差押えをする場合、差押えることができる範囲が給与の4分の1や2分の1と法律で画一的に決まっています。 しかしながら、差押えをする方、差押えを受ける方の具体的な生活状況を考えた場合、その範囲が適切ではない状況があり得ます。
この状況を是正するための制度として差押え禁止債権の範囲変更申立が用意されています。
 差押禁止債権の範囲変更申立についての条文である、『民事執行法153条1項』には、「裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活状況その他の事情を考慮して・・・」と規定されています。 (債務者…自分の給与を差押えられた人、債権者…差し押さえた人)
このように、裁判官が変更を認めるかどうかは、債務者と債権者双方の生活状況を考慮し、比較して決めることになります。
 ひとつの目安として、給与の差押えにより「現在の一般的な生活水準に比較して、債務者が差押えによって著しい支障を生じない程度の生活水準を確保し得るか否か」が基準になると言われています。 ただし、あくまでも債務者と債権者双方の生活状況を考慮するため、給与の差押えにより債務者の生活状況が一般的な生活水準と比較して著しい支障を生じている場合でも、債権者が同じように生活に困っている場合には、 変更が認められない場合もあります。
このように、明確な基準がなく、債務者の生活状況と債権者の生活状況との比較であるため、申立が認められるかどうかについて、弁護士としてもなかなか見通しが持ちにくいところです。 しかしながら、生活に直結する大事なことですから、困られている場合は、一度申し立ててみる価値のあるものだと思います。

弁護士 渡 邉 一 生

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